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リコメンダー 川野達子世の中の流行りに流されたくないと常々思いながら、今、最も注目を集める料理人を、自らの意思で追い続けるのは矛盾なのか、と自問自答を繰り返す。言い尽くせぬ切なさに襲われることもあるが、家族との日常に我に帰り、山形にそばを食べに行くことで元気を取り戻す日々。

視線の先に―第2章― 第9回

eat掲載日09-12.04

食べた瞬間、畑の光景が頭に浮かぶ
アル・ケッチァーノのスペシャリテ

 アル・ケッチァーノのメニューには、庄内の在来野菜を使ったスペシャリテが多い。私が店で最初に食べた「庄内豚と藤沢カブの焼き畑仕立て」もそのひとつ。(その時の心持ちは「視線の先に -第2章- 第5回」に詳しい)。以来、藤沢カブの収穫が始まる秋から翌年の春を迎えるころまで、ひとシーズンに何回かいただくが、そのたびに決まって感動を覚えるメニューの代表格でもある。
 奥田曰く、「藤沢カブを栽培している焼き畑の光景が頭に浮かんでくる料理」は、食べれば確かにそんな様子を思い描くことができる。しかし私のそれは、これまで目にしてきた映像や写真の残像にすぎない。毎年、一年で最も暑く、また雨の心配も少ないお盆の時期に行われる「火入れ」の作業を、だから今年こそ見たいと思っていた。
 早くから予定日を確認していたが、前日から降り続いた大雨のため無期延期となってしまった。
 雨が長引き、お盆を過ぎてようやく行われた今年の火入れ作業を、見ることは叶わなかった。


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